SDMドール フルチョイスオーダーレポート
晴耕雨読の香です。我が家にはお嬢さんと呼んでいるSDM（SDミディ：SDより小さめの42cmサイズドール）が1体います。
※球体関節ドールの写真が出てきます。苦手な方はご注意ください。
※初めてフルチョイスした素人の話なので間違いがあるかもしれません。
※2016年冬～2017年始のフルチョイスなので、選択可能なパーツなどが現在とは異なる可能性があります。
そのうちもう1体オーダーする心算。たぶん。
SDをお迎えしたい。中学生の頃から写真サイトさんで見ていたあの綺麗な人形を自分でも持てるとしたら。
幸い今は仕事をして自分の稼ぎで生活している。そして仕事で生活が大きく変わる時期だった。いいんじゃないか。この大変な時に憧れを手にしても。
◆事前調査
思い立ったら早かった。
まずとにかく検索。想像していたより値段は張らなかった。もっと20万円とかすると思ってた。
SDにはいつでもお迎えできる量産タイプの「スタンダードモデル」、パーツやメイクを自分で選んで2ヶ月程度でお迎えする「フルチョイスモデル」、その他イベントでの受注生産「限定」や1点物の「ワンオフ」などがあり、展示後にオークションされるワンオフなんかはすごく高い。なるほど、スタンダードモデルでいいかもしれない。ちよちゃんちょっと好み（スタンダードモデルにはSDで3種類、SDMで双子の男女各1種類のモデルが存在（当時））。
でもやっぱりスタンダードは普通の女の子という感じなので、自分がドールに求める雰囲気……と思うとフルチョイスでメイクまで仕上げてほしい。イメージはぼんやり幻想的な、人間らしさは抑えた無機質な雰囲気、埃っぽいような廃墟感、など。
フルチョイスするならハンドブックを手に入れたほうがいいらしいと知る。通販してもいいけど、ボディサイズが確定しないと選べるパーツ範囲も決めきれないということでいざ天使のすみか（ドールショップ）へ。
◆ボディ検討（すみか訪問1回目）
天使のすみかに行くのは初めて。仕事帰りに日本橋の駅からウロウロする。ネジ買いに来たことくらいしかないよ……。
BLも百合も好きだけどオタクを名乗れるほどのものはないので、ゲームセンターもホビーショップもほぼ行ったことはなく、1Fのキャラクターグッズを物珍しい気持ちで横目に見つつエレベーターで天使のすみかフロアへ。
足を踏み入れての最初の感想は「静かだ…………」。SDの実物を見るのも初めて。こんな感じなんだ…こんなサイズで……はぁ……。そしてDD（ドルフィードリーム：SDとは別のドールシリーズ。目の造形など二次元キャラクター感が強い）の存在をここで初めて知る。
ガラスケースに入っていたりいなかったりいろんな形で展示されているドールたちをうろうろ眺めて、四肢の長さのバランス的にはSDMが好みかな、などと考えていると、男性のスタッフさんがニコニコ話しかけてくれる。ドールショップってもっと素人さんお断りな冷たい感じだと思ってたのでイメージが変わる。フルチョイスを検討していて、ちょっと見てみたくて、サイズ感とか……など説明すると「じゃあ抱っこしてみますか？」えっ！いいんですか！
抱いてみると見ているより大きく感じる。あと重い。これがスーパードルフィーの重み……と謎の感動。やっぱりSDMかなぁ。サイズ感いいよなぁ。下ろして置いてみるとやっぱり小さい。可愛いなぁ。
その日はそのままフルチョイスハンドブックを購入して終了。スタッフさん親切だったな。
◆チョイス内容・メイク検討（ハンドブック）
ボディはSDMに決めたので続きはハンドブックで検討。ヘッドの写真を順番に見てひと目でお顔はSDM-F-20に決定。夢見がちで少し憂鬱感のあるドールらしい顔。けっこう定番？かな。
好みがはっきりしている性質なので目や髪はその場で決められるだろう、あとはメイクは相談しながらでないと思い付きもしない……ということで、すみかへオーダーに行く日までイメージ画像を探す日々。
ボークスさんのSDインスタで好みにヒットした画像を保存したり。基本的にSD知識はほぼなく、実物をちゃんと見たこともましてや触ったこともなく、中高生時代にずっとネットで見て憧れだったところから突然ドールオーナーになるのですべてが新鮮。
◆フルチョイスオーダー当日（すみか訪問2回目）
フルチョ当日は横さんとすみかへ（突然現れる横さん）。フルチョイスは予約などは不要とリサーチ済だったのだけど、本当に予約とかしなくていいの？とそわそわしながら訪問。
ワンオフモデルがショーケースに入っているのを横目に、SDカウンター周りをうろうろ。伏し目ヘッドも可愛い……けど初お迎えで目があまり開いていないヘッドはさみしい。ボディはSDMに決めたはずだったのにここへ来て「人形っぽいのはやっぱりSDかな…」とか言い出す。
SDMのスタンダードモデルのまこ＆ダイを見ながら、やっぱり可愛いサイズ感だなぁという気持ちが湧く。実物は写真より可愛かった。
いよいよスタッフさんに声をかけてオーダー。カウンターにフルチョイス中の先客がいらしたので、先にボディやヘッドなどじっくり相談せずに確認できる事項からスタート。
・ボディ選択
SDM女の子ボディ、F-20ヘッド、スキンカラーはホワイト。パーティングライン消しは不要。テンションゴムのきつさは普通。この辺りのわかりやすい部分はサクサク決定。
コーティングについては、 SDというのは室内でも徐々に肌が黄色く変色（黄変）するらしく、それを防ぐためのUVコーティングなのだけど、少しざらついた質感になるとかで今回は無し。まあ気になるくらい黄変しちゃったらそのときメンテナンスに出してピーリングとコーティングお願いすればいいかなと……。
お迎えドレスもセットで購入を予定。今回はこちらでした（2015年秋デザイン）。和装のイメージなかったから戸惑った…2016年秋は洋装っぽかったけど、色味的には今回分のほうが合いそうではある。あとお迎えドレスには下着がついてないらしいのでそのうちドロワーズか何か買ってあげようね。ただ、この後ドレスをいろいろ買うことになるので、お迎えドレスなくてもよかったな…というのが今の正直な感想。
続いて可動部の内容。 脚関節は通常ボディと座りっこボディというのがあるらしい。股関節の左右方向の可動がありいわゆる女の子座りができるのが後者。ただ膝関節が二重になっていないので正座はできない。おそらく正座はさせないしバシッと直立させることもないので座りっこに。
脚選ぶとき、実際にボディを触ってガチャガチャと組み替えをさせていただき…SDってこんなふうに触っていいの？と思いましたね……なんとなくビスクドールみたいな下手に触ったら割れそうなイメージだったもので…
ここまでで大体のボディは決定。このあたりで先客さんのオーダーが終了したので席へ移動。
・アイ／ウィッグ選択
続いてグラスアイの選択に入ります。ケースの中にカラフルな半球の眼がずらり。色は青みの明るい灰色系で考えていたのでサラッと決まると思っていたのだけど甘かった。
まず黒目の大きさから迷う。18mmか16mmか……明るめのアイの16mmはなんとなく白目が多いような気がしたり…結局、比較的スタンダードな16mmで台座を18mm対応のものにしたので今後交換もできます。
このとき、ヘッドに実際にアイを嵌めてもらいながら顔を見てああでもないこうでもないとやっていたのだけど、目が入るとまだノーメイクでもとにかく可愛い。あの小さい白い顔にツヤツヤの眼球入るのほんと可愛いんですよ。可愛いしか言ってなかった。
続いて色。なんということでしょう、グレー系が濃淡で3種類くらいある。さらに 他にも青みが強いもの、アメジストっぽい薄紫など（造形村グラスアイ）。ひたすら迷う。明るめでやや青っぽい灰色と、やや暗めの灰色の2種に一旦絞って、ウィッグの色選びに移行です。
髪も灰色っぽいものを想定していたので、この時点でカラーは3つほどに絞られる。彩度低めのベージュ、明るい金髪、グレーの3つ。完全にグレーがかわいいし好み。パールシルバーという色名。
色はほぼ即決だったけれど髪型でまた止まる。長いのがいいんだけどきつめのふわふわと大きめのゆる巻きと毛先だけカールしてるのと……いろいろある…最終的に2つ購入ということに。だってパールシルバーはフルチョイス限定色だって言うから…
髪色をグレーにしたところで気になるところが出てくる。目の色。先程ほとんど色味の出ない灰色系を選んでいたのだけど、髪にも色味がないとなると少し色があったほうがいいのでは…と。再度、薄紫色を嵌めてみてもらう。こちらのほうが可愛い。ということでアイは「青紫」に決定。
「これも見せてもらっていいですか」「もちろんですよ」「ありがとうございます」というキャッチボール5回くらいした。気さくで面白いお姉様でした。
グラスアイには追視という現象があって、角度を変えても瞳と目が合う。黒目の中の瞳孔が深い位置に描かれているわけです。くすんだ薄紫の虹彩に囲まれた黒い瞳孔がもうほんと可愛くて…（定期的に可愛いしか言えなくなる）
・ハンドパーツ選択
このあたりでハンドパーツの選択に移る。今年から新しく追加されたという手が綺麗な曲線でかわいらしくてここはそう悩むこともなく決定。ゆるく力を抜いた手で、あまりキメずにふわっとポージングしても表情豊かなハンドパーツでした。
・アイラッシュ選択
続いて睫毛。なかなかメイクにたどり着かない……。 睫毛にもいろいろと種類があり、まず形状は普通のシングルタイプとダブルタイプ、クロスタイプ。シングルタイプはかなりの色数から選べるけど、ダブルとクロスはブラックかブラウンの２色。
店内のドールたちを見てもクロスタイプを付ける子が多い様子。オーダーでは１枚しかつけられないので、ばさばさにしたい場合はシングルタイプのカラー睫毛を付けておいて、あとで自分で下に睫毛を付け足すというやり方もあるらしい。ひとまずカスタムの予定はないので、クロスタイプのブラウンを選択。
睫毛は付け方も選択できて、伏し目風の内付けか、元気な印象の外付けか、なのですがもちろん内付け。これは即決でした。
・メイクオーダー
さて、やっとメイクの話。オーダー前からずっと危惧していた。これで雰囲気がかなり変わってしまうので慎重に、でも全くわからない世界なのでとにかく相談をするしかないところ。
＜方向性＞
ハンドブックに「メイクの指定は言葉では難しいのでイメージに近い写真を用意しよう！」みたいに書いてあったので画像を用意。保存していた画像をアドバイザーさんにお見せしたところ、霞というモデルだそう。20番ヘッドでイメージは霞モデルというあたりでタイプが絞られてくる…
しかし霞モデルというのはそもそも青白く少しくまの浮いているような病的なメイクなのだとか。写真では黄みの強いライトでビスクドール風に撮影されていたのでわからなかった……「静脈感」と言われていたけどそこまで不健康な見た目にしたいわけではないので青みをオフする方向へ。
店舗備え付けのメイクオーダー参考ブックの中に「霞モデルをイメージしたSDMのメイク」という参考写真があり、そちらは逆に赤みが強い。ホワイト肌に赤やピンクの吹き付けというのはとても可愛いのだけど、あまり「赤！」というのもキュートすぎなので赤みもオフ。ピンクとオレンジとブラウンがメインになる様子。
全体の雰囲気の方向性を決めたら、パーツごとにメイクオーダーを進めていきます。方向性の時点でかなり時間を使った……
＜目元メイク＞
まず目元。霞モデルのメイクから病的な青みを引くと、案外キツめの顔立ちであることに気づく。アイラインとか吊り気味だし。感情少なめにしたいので、参考ブックの中からトロンとした雰囲気の子のイメージで指定。というかその子は目も髪も黒かったから気づかなかったけどかなり好みの顔立ち…
終盤に目元のグロス指定もありました。上瞼と下瞼に濡れ感をつけるか、ということなのですが、人形感を出したいので上瞼は無しで。下瞼も迷ったけど粘膜にうっすら入れてもらうことに。グラスアイとの親和がちょうどいい感じになるとよい。
＜眉メイク＞
続いて眉。さっきの好みの顔立ちの子は前髪ぱっつんで眉が見えない。目元メイクと同じ色でピンクやオレンジで眉を描いている子も多いけど、髪がグレーで目が薄紫なので少しグレー～ブラウン調にしたいな…ということで、色と形を選んで、あとは職人さんにホワイト肌と合う色味に調整していただく。
＜口元メイク＞
口元も表情を左右するので真剣に選ぶ。20番ヘッドは歯を描いて口が開いている感じにすることもできるけど無しで。ぼんやり開いているのがかわいいので。
メインイメージだった霞モデルは結構きちんとリップメイクしてるけど、ややナチュラルに、あと少し薄めに見せたい、など要望をばらばらと言いながら参考写真から選択。結局さっき目元メイクで選んだ好みの顔立ちの子のお口になった。
グロスはあんまりぷるぷるは好みじゃないけどツヤ感がないのも味気ないので、うっすらと。あと唇の縦線も描けるらしいけど無しで。縦線描くと人間っぽさが強くなってしまうようなので。
＜頬メイク＞
チークに関してはかなり気になっていて、いわゆる「ほっぺ」に円くチークが入っているのがあんまり好きじゃない。でも女の子は写真でも可愛らしくチークが入っている子が多い。最終的に、男の子で目元メイクからの続きで頬骨の上あたりまで淡くグラデーションがかかっているサンプルを指名。理想。
でも多分チークが円く可愛く入ってる子もだんだん可愛いなと思うんだろうな……確かに可愛いことは可愛い。けど今回はザ・理想を詰め込むマイスタンダードドール（？）なので！
これでオーダーは終了。アドバイザーさんも隣で辛抱強く付き添ってくれた横さんもお疲れさまでした。みっちり２時間半のオーダーでした。
最後にオーダー内容の読み合わせ確認をして、完成時期の案内（2ヶ月程度）、支払い。箱に入れて送られてきてほしいという思いで郵送受け取りを指定。でも裸の状態で手にプチプチを付けられて送られてくるらしい……なにそれ面白い…
◆お迎えまで
お迎えまでにドロワーズ縫ったり、似合いそうなドレスを探して購入したり。グラスアイ固定でオーダーしちゃったので、念のため取り外し用のエナメル溶剤を買ったり。
さらに、フルチョイスで貯まったボークスのポイントを使ってフィニッシングスプレーを購入。手足に色乗せてあげたい。あと前述の黄変の話で、メンテに出せばいいかなとか思ってたけどメイクの雰囲気が変わる可能性があるとの噂もありちょっと怖いな、ということで落ち着いたら全身にもスプレーする予定（その後、実際バラバラにして風呂場で吊るしてスプレーしました。お迎えから2年経ちますがまだ特にメンテの必要は感じていません）。
◆到着
オーダーから55日後の夜、家に細長い段ボール箱が届く。
段ボール箱を開けるとウィッグやオプション品の下に細長い箱があって、シリアルナンバーとオーナー名を書いた紙が入っていて、「おめでとうございます。世界で唯一人、あなただけの天使の誕生です。あなたと、あなたの天使が永遠に幸福でありますようお祈りしております。」わ～～～！感動的だけどちょっと恥ずかしい！！
箱を開いて、綿布団のような緩衝材を除けると、横になっている…身長42cm…からだが白い… 確かに裸で、ウィッグなしで、顔に透明のプラスチックカバー装着、手指にプチプチ装着だったけどそれでも「ドールだ～！」という感情……。フルチョはメイクが薄めというレポを読んで心配していたけど特に薄くもなく。その瞬間は正直どんなメイクオーダーしたか忘れてたけど可愛いから良し…とにかくかわいい…なにこの造形…可愛い…。
ウィッグをつけてみると細かいカールがお人形らしくてよい。用意してたグレーのドレスも似合ってよかった。アイが灰色にしか見えなくて、ちゃんと青紫ってオーダーしたよな…？とぼやぼやしていたのだけど、その後外してみたらちゃんと紫みの色だった。目の周りの赤みに引っ張られて灰色に見えるんだな。フルチョイスで灰色と迷ってたからちょうど良かった、のか？もし灰色にしてたら緑っぽく振れてたのかも。
オーダーのときにSDかSDMかで一瞬ぐらついていたのは結果ミディサイズで大正解だったと思う。外見がとにかく可愛らしくてそして小さい、という魔術的な存在…
お嬢さん、名前を付ける予定はないですが、もしもう1体お迎えしたらどうしたらいいんだろう。
誕生花はカトレアと水仙。誕生石はロードナイトとガーネット。ロードナイト＝薔薇石、くすんだ薔薇色のアイをプレゼントしてあげるべきかもしれない。
